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Whitney Biennial 2010 : Nina Berman

nina-berman-more-than-a-marines-wedding-3.jpgChuma Yoshiko and The School Of Hard Knocks公演でNYに行ったついでに、いろいろ美術館やコンサートに足を運んで、面白い人や作品に出会えたけど、それをまとめる暇もないうちに日常に追われ始めてます。でもいくつか気になった出来ごとや作家、作品については、少しずつ書いてみようと思ってます。
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公演最終日に、本番前に時間が1時間ちょっとある!ということでWhitney Museum(ホイットニー美術館)で2年に一度開催されるビエンナーレ展Whitney Biennialに行って来た。
出自は問わず、アメリカ在住で存命のアーティスト60名くらいが紹介されていた。表現形態は絵画、写真、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンスを含むものなど多岐にわたる。今日どんな表現方法が可能か、という点からみても面白いし、あるいはWhitney MuseumというアメリカにおけるFine Art / Visual Artの中心的存在が、絵画/彫刻のような伝統的な<美術>以外の表現をどう囲い込もうとしているのか、という視点からも興味深かった。あと、日曜日の朝11時の開場の時間に合わせて行ったらすでに長い行列ができていて、実験的/先鋭的な表現活動を支えているコミュニティがちゃんとあることをうらやましく思った。
後日書くかも知れないしそんな暇はないかもしれいないけど、前日に足を運んだジェフ・クーンズ企画のNew Museumでの展覧会がいやーな後味の残る展覧会で(その嫌悪感こそクーンズの狙いの一つだろうし、人の感情を揺り動かし記憶に残ったという意味では成功だとも思うが)、『現代美術は自己満足的な、粗大ゴミを作り出す活動にすぎないんじゃないか』という考えに至ったりもしたが、Whitney Biennialの多彩な作品群の中にはインスパイアされたり、強い印象を受けたものがあった。
一番強い印象を受けた作品は、Nina Bermanの写真。今回、彼女以外にもジャーナリスト的な写真家が複数出展していて、ジャーナリスト的な写真は『アート』なのかという議論はあるかも知れないけども、いかにもFine Artというくだらない作品などより、余程心を揺さぶられた。彼女が写真を通じて切り取ったような<現実>の凄ましさを見せつけられると、人が作ったドラマや演劇が陳腐にさえ思えてしまう。
『海兵隊のTy Ziegel軍曹は、イラクで従軍中に自爆テロにより瀕死の重傷を負った。彼はテキサス州の陸軍病院での19ヶ月間に及ぶ治療の末、生還した。治療中の彼を支えたのは家族と、婚約者のRenee Klineだった。TyとReneeは2006年10月に結婚したが、その後離婚した。』(Nina Bermanのサイトにある解説より)
今回展示されていた《Marine Wedding》という作品は、結婚式前の数週間、彼らと一緒に過ごしながら撮影された写真と、2008年に離婚後母親と一緒に暮らすTyを撮影した写真で構成されている。少し小さいけど下記の作者自身のサイトで見てもらいたい。
– Nina Berman : Marine Wedding
http://www.ninaberman.com/anb_port.php?dir=mw&mn=prt
■参考
– Whitney Biennial : Nina Berman
http://www.whitney.org/Exhibitions/2010Biennial/NinaBerman