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ジョン・ケージ《4分33秒》はラジオで放送できない

昨日、鎌倉FMの番組『行き当たりバッチリ』に呼んで頂いただいたんですが、「音楽を2曲紹介してください」との依頼。
ちょっと遊びたいなーと思って、間違いなく20世紀音楽史の最も重要な作品の一つであるジョン・ケージの無音の作品《4分33秒》をオンエアしたら斬新じゃないかと思って、でもこの曲を知らない人が聴いたら、単なる放送事故だよなと思いつつ、局に向かいました。
生放送開始10分前になって「曲の準備をお願いします」と言われ、《4分33秒》の話をしたら、想定していた反応ではあるけど「無理です」という話になって、でもその理由を伺ったら、大変興味深かったのです。
《4分33秒》が放送できないのは、もちろん美学的な理由なんかではなくて、無音の時間が一定時間経過すると自動的に音楽が流れる装置がラジオ局に組み込まれているそうで、とにかく《4分33秒》を鎌倉FMでオンエアすると数秒後にジャズが流れます、との話。以前に、放送局はクーデターなどで占拠されたときに備えた仕様になっている(渋谷のNHKの中も迷路みたい)という話を聞いたことがあるような気もするんですが、詳しい方がいたら真偽をお聞きしたいです。
結局《4分33秒》は放送NGだったので、そういうこともあろうかと思って用意した《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》の「ソナタ第8番」を流してもらいましたが、僕にとってはなかなか興味深い逸話で、本当はOAしたかった《4分33秒》が放送できない理由を少々話してから「ソナタ第8番」をOAしています。昨日のラジオ音源、こちらにアップしてみたので、このあたりのやり取りも含めてお聞きください。ケージの話は10:00からしています。https://soundcloud.com/user-572123217/200625a


433 words about John Cage’s 4’33” – and the first ever radio realisation
https://www.bbc.co.uk/blogs/radio3/2011/11/433-words-about-john-cages-433-and-the-first-ever-radio-realisation.shtml

→ 2011年にBBCで《4’33″》をラジオで「実現(realisation)」した際にジョン・ケージ財団(John Cage Trust)に問い合わせたところ、ラジオで実現した事例は過去にないとの回答だった。BBCではこちらの番組で2011年11月5日にラジオで「実現」した。もともと《4’33″》は時間・演奏者自由なので、図形楽譜の作品《フォンタナ・ミックス》を用いて3楽章の長さを決定して、2’52”として実現した。Broadcastといわず、Realsationと表現しているので、ラジオを用いたパフォーマンスとしてやったのでしょうか。

John Cage《4’33″》 初演の話
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=397653206960742